2004年1月のプチ日記

1月31日(土曜) 深夜

 職場の取引先の一人に加島さんという人がいる。

 50歳近くの中年男性である。風貌は毛むくじゃらでクマに似ており、いつも不機嫌そうにタバコを吸っておられる。ひとむかし前の体育教師のような雰囲気といえばいいだろうか。

 そして先日、加島さんが支店長になった。

 それはいいのだが、困った問題がひとつ起こってきた。周囲が彼のことを「加島支店長」と呼ぶようになったのだ。「カシマシテンチョウ」、普通に聞くと「かしまし店長」にしか聞こえないではないか。

 「かしまし店長、お電話でーす」
 「おうっ!」

 このむくつけきクマ男が「かしまし店長」だとは…。あー、かしまし娘。

 おかげで最近、彼の姿を見ただけで笑いがこみあげて難儀しております。まじめな商談のときほど、こみ上げてくる笑いが悪魔のようにぼくを揺さぶってくるのです。

 

1月29日(木曜) 深夜

 冬の楽しみのひとつに「電気ストーブにあたる」というのがある。

 つらいことや悲しいことがあった日は、家に帰ってまず電気ストーブのスイッチをつける。足もとにじんわりと広がる暖かみ。少しだけ幸せな気分にひたることができる。ようし、がんばって明日も生きようと思う。

 つらいことや悲しいことがとくになかった日も、帰宅したらまず電気ストーブをつける。つけなきゃ寒いので当たり前であるが、やっぱり「暖かいなあ」と心の底から思う。ぼくは日々、電気ストーブに癒され、生きる活力を与えられているのだ。

 ああ電気ストーブ、自分の次におまえが大切だよ! ラヴユー! ファックミー! プリーズ・ファックミー・テンダリー!

 …と、ついついポエムになってしまうほど便利な電気ストーブ様でありますが。

 さっきまでしばらく足もとを暖めていて、さてネットでもしようかとパソコン机に座ろうとした途端、激烈な熱さに飛び上がりそうになった。知らぬ間にズボンが異常に熱せられて煙を出していたんである。アッチー!! 

 やっぱり上記のポエムは取り消します。この恩知らずめ! ファックユー!!

−−−

 でもおかげで、神経異常で痛みを感じられない人の感覚が少し分かった気がする。

 きっと彼らの皮膚はぼくのズボンのようなものなのだろう。電気ストーブにあたってたら気がつけば燃えている。

 ちなみに我々の痛みは、学説では神経伝達物質「サブスタンスP」によってもたらされるとされている。この物質が脳内での痛覚認知を担っているのだ。

 ただ、「サブスタンスP」っていう名称はどうなんだろう。サブスタンスは物質って意味だし、Pはペイン(痛み)の頭文字である。ってことはサブスタンスPは「いたみ物質」の略、言ってみりゃ「い物質」である。

 脳科学の世界では、我々の痛覚は「い物質」の伝達によるものであることが実証されているらしいですぞ!

 

1月28日(水曜) 夜

 先日携帯電話を買って以来、ぽつりぽつりとメールを打ったりしているわけですが。

 気になるのが予測変換の機能である。

 たとえば「こ」と入力しただけで「こんにちわ」「こんばんは」といった候補一覧が表示され効率よく入力できる。確かに便利な機能なのだが、よく分からない変換候補がデフォルトで入っていることがあまりにも多いのだ。

 今日だってそうだった。「て」と入力しただけで、「テストが終わったら」という候補が表示されたんである。もちろんぼくはこんな単語を入力したことなどない。携帯メールで頻繁に使われている言葉があらかじめメモリに記憶してあるのだろう。

 しかしそうですか。「テストが終わったら」ですか。きっと世の学生たちは次のようなメールをやりとりしているに違いない。

「テストが終わったら遊びにいこうね」
「テストが終わったら会おうね」

 くー。小生は口惜しいよ。

 我が学生時代を振り返ると、ぼくは決してこんなメールを書かなかったと思う。書くならきっとこのようなものになっていたはずだ。

「テストが終わったらヒマなので寝ます」

 これはいったい誰へのメッセージなのか。自分自身への罰ゲームか。暗い青春・魔の退屈。

 …ちなみに小生の携帯電話は、「え」と入力すると「エロ」「エロチカ」「延髄チョップ」といった候補が表示されるようになっております。

 

1月27日(火曜) 深夜

 市内の混み合うバス停でバスを待っていたところ。

 近くにいた幼稚園くらいの男の子が突然、前に並んでいるOL風の女性を指差して発言したのでした。

 「お母さん、この人オナラこかはった!」

 そういえば何となく屁のにおいがする。ただ、列の前方にはオヤジの姿も多数ある。おそらく犯人はオヤジの一人だと思うのだが、この男児はたまたま眼前にいた女性のしわざだと考えたのだろう。

 当のOL風女性は知らぬふりをしていたが、周囲の視線はもちろん彼女にクギヅケである。クスクスもれる笑い声。うわー。

 見た目や性別で人を判断しないという点では評価できるけれど、子どもはやはり残酷だと感じた一件でした。

−−−

 民主党・古賀氏の学歴詐称問題に関するテレビ報道をなんとなく見ていたら、氏の弁明の一節に我が耳を疑った。

 あまりにもヒドイと思ったのだ。それは次の発言である。

「いつか単位を取得して、ペパ大というものを卒業したいと思っています」

 正式には「ペパーダイン大学」だったはずである。それをあろうことか「ペパ大」呼ばわり。ちゃんと卒業してるならまだしも、学歴詐称しておきながら「ペパ大」呼ばわりはないだろう。ハーバード大学卒を詐称して逮捕された人が「ハー大卒を名乗ったことを心から反省しています」とか言ったって、ちっとも反省の色を感じられないのと同じことである。なんですかこれは!?

 …と憤慨しながら別のニュース番組で確認してみたところ事情が分かった。古賀氏はどうやら「ペパーダインというものを卒業したい」と述べていたらしい。だが早口だったせいで、「ペパーダイン」を「ペパ大」と聞きとってしまったのだった。なーんだ。

 まあそりゃあそうだよなァ。現地ではペパ大なんて略さないよなァ。

 これは古賀氏というよりぼくの側の問題でした。がっかり。

 

1月26日(月曜) 深夜

 30歳になったら親からイヤミを言われた。

 「もういい歳なんだから、そろそろ将来のことも考えて身を固めなさいよ」

 固められるもんならとっくに固めてますよ、と言いたいところだが、それはさておき。こういうときに母は決まって父のことを引き合いに出す。

 「お父さんは29歳のときに結婚して、そのときにはもう家を建ててはったのよ。それに比べてアンタは…」

 話によれば、勤勉だったぼくの父は若い頃からコツコツと貯金に励んでいたんだト。で、28歳で結婚が決まった時に、ローンを組んで一戸建てのマイホーム(しょぼいけど)を購入したんだト。まァそういうわけらしい。

 たしかにエライとは思う。ぼくには性格的にも経済的にもとうてい無理な相談である。ふつうなら新婚当初は賃貸マンションで、そのあと分譲マンション、そして念願のマイホームへとランクアップしていくものだろう。

 ただ、ぼくが生まれる2年前に建てられたマイホームなので、ぼくが大学に進む頃には築20年のボロ家になっていた。おかげで友達を実家に招くとき、ちょっと恥ずかしかったのを思い出す。他のみんなの実家は築10年とかでまだキレイなのに。

 だから母からこの話を聞くたびに「ただの勇み足だろ」と思う。勇み足さえ踏めない自分はさておいて。

 

1月25日(日曜)  夜

 三足千円の靴下を購入。

 値段は安いくせにシールやら金具やらだけは大量に付いている。いま数えてみたら、1ペアの靴下に「シール7枚、金具3つ、厚紙1つ」が付いていた。なんですかこれは。

 朝とか急いでるときに穿こうとして、いつも気が狂いそうになる。

 靴下相手にカッカしてる自分に気づいて、今度は人生がイヤになってくる。

−−−

 さて、普段よく利用する駅のホームで見かける注意書きです。

 数ヶ月前からずっと「ペンキぬりたて」のままなので、見かけるたびに気が抜ける。

 気がつけばペンキは剥げてきてるし、「ペンキぬりたて」の文字もかすれているという体たらく。周りを見回すと同じ注意書きがいたるところに。ホームの敷地の何割かは常に「ペンキぬりたて」なんである。

 この調子でいけば、数年後には全ての敷地が「ペンキぬりたて」になってしまいそうである。で、ホントに塗りたての場所があっても、誰も全然注意しないのでアッという間に剥げる。

 注意書きは日常になってしまうといけないという好例でした。

 

1月24日(土曜) 深夜

 職場の先輩に一児(小学生)の母であるCさんという女性がいる。

 Cさんは我が子に「アンコの入っているタイヤキは『当たり』なのよ」とウソを教え続けているらしい。するとタイヤキを食べるたびに「当たりだ、やったー!」と喜ぶことになる。日常の中に小さな幸せを、というのが彼女の方針らしい。

 タダで喜びを得られるのは確かに素晴らしいことだと思う。でも夜店とかでタイヤキ屋の前を通ってしまったら一発でバレてしまうんじゃないか。今までどうやってだまし続けてこれたんだろう。

 …と不審に思ってCさんに訪ねてみたところ、明快な答えが返ってきたのでした。

 「だから屋台があるような場所には子供を連れて行かない」

 なるほどそうですか。ってことは、お祭りにもデパートにもどこにも連れてってもらえないのだろう。友だち同士で夜店に行くなどと子どもが言い出した日には、きっと烈火のごとく激怒されるにちがいない。小さな幸せの代償としてはちょっと厳しすぎやしないか。

そしてこのまま高校生くらいまで信じつづけたとして。ある日友だちの前で言ってしまうのだ。「あ、このタイヤキ当たりだ!」

 Cさんのお子さんは幸せものだと信じたい。

 

1月22日(木曜) 深夜

 デジカメやらスキャナやらでUSBをよく抜き差しするんですが。

 いつも差し込む向きが逆で入らずイライラする。

 どうしてどちら向きでもOKじゃないのか。確率的は50%で成功してるはずなのだが、実感としては70%くらいの率で失敗してる気がする。おお、USBの神様はあえて我に苦難をお与えくださっているのか。ファックユー。

 いやまァ、いつまでたっても向きを学習しないぼくが悪いのは分かってるんですが。ああ、私が悪うございました。どうせ私が全部悪いんでしょ。もうどうしようもないですね。ハイハイおっしゃるとおりです。

 …USBコネクタに逆ギレするこの虚しさ。残るは後味の悪さのみ。

−−−

 さて、木曜日なので Go smoking の連載コラムが更新されてます。

 今回のタイトルは「嫌煙運動の思わぬ弊害」。ウチの職場の禁煙キャンペーンについて物申しております。同僚に言っても「いちいちうるさいんだよ」と取り合ってもらえないので、こんなところに書いて憂さを晴らしてます。心底スモールな人間だなと我ながら思います。

 よろしければご覧くださると嬉しいです。はい。

 

1月21日(水曜) 夜

 残業で遅くなった日は近所の「すき家」で夕食を済ますことが多い。

 ただ、以前からちょっと気になっていることがあった。カウンター席に座ると内側のレジが見えるのだが、なぜかそこにオメコマークが描かれているんである(その上の「すき家」という落書きもよく分からないが)。

 それでも店員はまったく気にせずレジを打っている。女子店員も颯爽とレジに駆け寄り、さわやかな笑顔で「ありがとうございましたー!」。でも彼女の前にはオメコマーク。いくら機敏に動き回ったって、傍らにはオメコマーク。

 で、こりゃあ素敵だねえと思って先日、パシャパシャと写真を撮っておったわけです。周囲からは怪訝な視線を浴びたが、こういうのには慣れているから全然平気である。

 だが今日、店のカウンター席に座ってみたらこんなことになっていた。

 オメコマークが跡形もなく塗りつぶされているのだ。なんですかこれは!? 今まで何ヶ月も放置されていたのに、ぼくが写真に撮ったとたん消されてしまうなんて…。

 そして思い当たる理由はただひとつ。ぼくが写真など撮ったものだから「寝た子を起こして」しまったのだろうか。

「さっきのお客さん、レジの写真撮ってましたけど…」
「なに撮ってたんだろ。…ん? この落書き何だよ!?」
「あらー」
「さっさと消しとけっ!」

 ハイゼンベルクの不確定性理論はオメコマークにも当てはまるのか。

 ちょっと責任を感じてます。申し訳ありません。 そしてオメコはいつだって黒塗り。

 

1月20日(火曜) 深夜

 食材を買いにスーパーに行ったら、ばかでかいサツマイモが売られていたので衝動買いしてしまった。

 帰宅してオーブンで熱すること1時間、巨大やきいものできあがりである。

 これにマーガリンを大量に塗って食べたらすっかり満腹になったので本日の夕食終了。ディナーがサツマイモだけとはまるで戦時中のようだが、妙においしいので不服は全くない。正直言うと「久しぶりにいいもの食った!」という感すらある。

 そして今、ビール飲みながらポテトチップを食っております。いもづくし。身体がいもを渇望しているのか。

−−−

 そういや以前、ウチで飲み会をしたときのことを思い出した。

 そのときはホラー映画のビデオを皆で観賞していたのだが、ぼくは観てるうちにお腹が空いてきた。そこでふと、買い置きしてあったサツマイモが頭に浮かんだのだった。よーし、映画が終わったらやきいもを作って皆にふるまおう!

 しばらく後、ホラー映画が終了した。

A君:「いやー怖かったねえ」
Bさん:「悪夢見そうだよこれ。血とか飛び散るしィ…」
ぼく:「ところでお腹とか空かない? おいもさんでも焼こっか」
一同:「おいもさん…」

 「やきいも」に内在する、平和すぎるゆえの破壊力を知らしめられたのはこのときだった。

 皆さまも是非、格闘技観戦や別れ話の直後にご提案ください。「おいもさんでも焼こっか?」

 イラクに出向く自衛隊の面々も、御守りとしておいもさんを身につければいいと思います。いもをつけてりゃテロにもあうまい。

 

1月19日(月曜) 夜

 さっきテレビを見てたら、米軍が実用化に成功したというレーザー兵器が紹介されていた。すごいですねえ。

 そういやレーザー兵器といえば、旧日本軍も開発を試みていたと聞いたことがある。ただ、開発にはこぎつけたものの出力が弱く、「30分間かけてネズミ一匹を殺せる程度の威力」だったとか。

 30分間かけてネズミ一匹殺せる威力。実戦にも是非投入してほしかったものだ。

 というか、これは電気ストーブじゃないのか。

−−−

 ここ数日、部屋が異様に散らかっている。まるでゴミ屋敷の様相。

 おかげで携帯電話が行方不明になってしまった。部屋が散らかりすぎているせいでどこにあるのか見当がつかないのだ。かといって、眼前にそびえる洗濯物やらゴミやら本やらの山を発掘する気にはとてもなれない。うーん、どうしたものか。

 …と思いあぐねていたところ名案が浮かんだ。据え置き電話から自分の携帯に電話して、音を鳴らせばいいんである。よっしゃこれやがなっ!!

 だが、実際にやろうとして新たな問題に直面した。自分の携帯番号を覚えていないのだ。契約書には番号が書いてあるが、これもゴミの山に埋もれていてどこにあるか分からない。

 てなわけでゴミの山をかき分けながら契約書を探していたら、先に携帯電話が見つかりました。

 結果的にはオーライなのだが、なんか悔しくて仕方ない。

 

1月17日(土曜) 深夜

 本日をもって小生、30歳になってしまいました。どうするよ。

 子どもの頃に想像していた30歳像とのあまりの違いにしばし茫然。

−−−

 それはさておき。

 さっきお腹すいたなあと思って冷蔵庫を見たら、なにも入ってなくて落ち込んだ。備蓄のスナックも缶詰も何一つない。こういうときってちょっとした飢餓感があって逆に楽しい。

 そういや実家で暮らしていたころ、ぼくが「何か食べるものないの」と訊くと、母親は決まってこう言うのだった。

 「冷蔵庫になんなりとあるでしょ。自分で食べときなさい!」

 だが、あるとき冷蔵庫を開けたら入っていたのは次の通りだった。

 …これだけでいったい何をどうしろというのだ!?

 というわけで、ひもじいのに何もない冷蔵庫を前にして、30歳の誕生日を迎えております。

 残ってるウイスキーがあるので、とりあえず飲むことにします。

 

1月16日(金曜) 夜

 携帯電話、1〜2日しか充電池もたないって聞いてたのに。

 3日経つのにちっとも減る気配がないのはどういうことなんでしょうか。

 きっとぼくの携帯の電池性能が良すぎるに違いない。ああ、違いないとも。

−−−

 最近とみに体重が増えてきた気がする。

 学生時代に買ったジーンズを数年ぶりに穿いてみたら、あまりのキツさに驚いたのだ。で、少しでも生地を伸ばそうと思ってしゃがんだ瞬間、ビリビリビリッ! とお尻やら太ももやらが何本も横に裂けてしまったのだった。まるで北斗の拳のケンシロウ。

 何年も放置していたせいで生地が弱っていたのだとは思うが、それにしても知らないうちに自分がケンシロウ状態になっていたとはショックである(ただ太ったというだけなんですが)。

 これでも毎朝、駅まで全速力でジョギングしているのだが(寝坊してるだけなんですが)。

 

1月15日(木曜) 深夜

 四条河原町の路上に定住しておられるホームレスの方がいる。

 通勤の行き帰りには必ず見かけるし、休日もだいたい遭遇するしで、ぼくにとっては目下「いちばん頻繁に会う人」となっている。そのせいか妙な愛着心が出てきて、毎日観察している昨今なのでありますが。

 ここ数日急に冷え込んだせいか、ホームレス氏のファッションに変化が現れたんである。

 今まではベージュのサテンコートをアウターにしておられたのだが、その上にショート丈のセーターをレイヤーされるようになったのだ。「コートの上にセーターを着る」、この浮世離れした着こなしは我々凡人の発想をこえる新境地といえるだろう。

 どうしてセーターを中に着ないのかとご立腹の向きもあろうが、内側に着るとゴワゴワして窮屈なのだと推察される。徹底した機能性の追及は時としてアバンギャルドになるという好例である。

 ただ疑問として残るのは、このセーターをどこで入手されたのかということ。グランジ感覚あふれるコートに比して、セーターは妙に真新しい。といって店で買ったとは考えにくいから、どこかでお拾いになったか、誰かにプレゼントされたかのいずれかと思われる。

 やはりどこかの好事家が進呈したんだろうか。実はコムサのニットだったりして。

 どうせなら誰か、要らなくなったヴィトンのポーチなんかも寄付してほしいものだ。で、近くを通った女子高生が「きゃー、あんたのヴィトン、あの人のと一緒よ!」「ほんとだ…」なんってって自分を見つめ直したり。

 氏はいつも繁華街にたむろしていらっしゃるので広告効果もバツグンだろう。どうでしょうか競合ブランド様。逆広告塔。

 そうなったら氏のもとに毎日エルメスやらグッチやらが届くのでぼくも嬉しい。

 

1月14日(水曜) 深夜

 すっかりブームも去った「おれおれ詐欺」でありますが。

 あのニュースを聞いてまず思ったのは、親に対して自分のことを「オレ」と呼んでる人って多いんだなァということだった。ぼくの実家は厳しくて、一人称は「ぼく」と決まっていただけに、へぇそうなんだーと感じたんである。

 ウチの実家に「オレオレ」なんて電話しても、きっとアナタ誰!? となってしまうことだろう。だから我が家の場合だと「ぼくぼく詐欺」しか通用しないことになる。

 こう考えると、「おれおれ詐欺」にもいろんなパターンがあったことと推察される。

 「えーと我輩だけどさァ」「あら小暮ちゃんどうしたの?」「母さん、実は事故っちゃってお金がいるんだ…」てな手続きを踏まなければ詐欺が成立しない家庭だってあるわけだ。全国にどれだけあるのかは知らないけど。

 またいつか同様の詐欺が横行するか分からない。我が子をお持ちの方々は、詐欺の被害に遭わないためにも「一人称教育」を徹底するべきである。万一お子さんが「オレ」とか「ぼく」とか言い始めたなら、早期のうちに躾をおこなうべきなのだ。

 「オレなんて言葉を使っちゃダメッ! 『小生』って言いなさいっ!」 

 

1月13日(火曜) 深夜

 同僚のF君が髪型を変えたんですが。

 ここはひとつ何か言わなくちゃと思い、あまり考えずコメントしたら沈黙されてしまった。

 「8:3分けって感じですねー。似合ってますよ」

 しまった。F君もぼくと同じく、頭が大きいのを気にしていたんだった! 

 そういうつもりは全然なかったんだけど…。無意識の言動はまったく恐ろしい。

−−−

 そして携帯電話続報です(昨日の日記参照)。

 どうせあまり使わないだろうと思って、カメラ機能もサブディスプレイもついてない一番安い機種を選んだのが間違いだった。

 時間があると「誰かからメール来てないかな」とふと思うのだが、サブディスプレイがついてないから携帯を開かないと新着の有無が確認できない。そしていつ開いてもメールなど一通も届いていない。

 たまに新着メッセージがあれば開きがいもあろうというものだが、この調子では全然張り合いがない。「どうせあまり使わないだろう」という予想こそ正しかったものの、だからこそサブディスプレイが必要だったのかもしれない。

 ちゃんと機能してるのか不安になって、自宅パソコンから自分の携帯にメールして着信音を確認している本日であります。

 

1月12日(月曜) 夜

 諸事情あって携帯電話を(生まれて初めて)買った。

 で、小生もついに「ケータイ族」の仲間入りか…と一人でしみじみ喜んでいたのだが、いざ使ってみたら予想以上に大変で憤死しそうになった。機能がたくさんありすぎて操作法が全然分からないのだ。

 結局、マニュアルを片手に試行錯誤すること約4時間。ようやく電話&メールの使い方、電話帳への登録方法などを会得することができたのでした。こんな小さな受話器を相手に一人で4時間も格闘してる情けなさ。

 おまけに小さなボタンでの文字入力に慣れなていないから、メールを書くのに異様な時間がかかる。ボタンを探してるとその度にバックライトが消えるものだからますますイライラが募る。バックライトの点灯時間を長くする設定方法もあるはずなのだが、それを探すまでに何度ライトが消えるかと思うともう意気消沈してしまう。

 …というわけで、これまた20分くらいかけて書いた力作メールを試しに友人宛に送信してみたわけです。パソコンなら20秒で作成できるメールに20分。それはまぁいいのだが。

<送信メッセージ>
件名: 携帯買いました!
本文: どうもお久しぶりです。名倉です。このたび遅ればせながら携帯電話を購入したので送信してみます。今後、急ぎの用事などのときには使ってください。ちなみに携帯の電話番号は090-****-****です。

<返信メッセージ>
件名: Re:携帯買いました!
本文: ラジャーです。ではでは。

 人が必死の思いで書いたメッセージなのに、このぞんざいな返事は一体なんだ! ああ腹が立つ。

 あと、"nagura"のメールアカウントを取得できてこれラッキーと喜んでたら、開始一日目にしてスパムメールが届き始めました。ひょっとしてバカでしょうかぼくは。

 それでは、引き続き設定をしなくちゃいけないのでこの辺にて。

 

1月11日(日曜) 夜

 連休の人込みでごった返す四条河原町を歩いていたら、歩道にこんなものが設置されていた。

 パイロンとポールで厳重に囲まれたスペース。貼り紙には「頭上に注意」と書かれている。いったい何事だと思って頭上を見てみたら理由が分かった。…と同時に気が抜けた。

 アーケードの天井から門松が吊り下げられていたのだった。

 太い竹筒もあるから落下すればタダじゃ済まないだろう(顔面を直撃したら失明しそうだ)。こう考えると、放置するのは危険という判断も確かにうなづける。注意書きから察するに落下事故が実際にあったのかもしれない。

 でも、だったらさっさと撤去しろよと少しだけ思いました。

 そこまでして吊るしておかなきゃならないモノなのか。頭上門松。

 

1月9日(金曜) 深夜

 最近、家のパソコンの調子がすこぶる悪い。

 2〜3のアプリケーションを立ち上げただけで「システムがビジー状態」になってしまうわ、突然フリーズはするわで結構イライラするんである。まるで職場での自分を見ているようで、なるほど周囲からはこんな風にイライラされているのかと自己覚知してみたり。

 ただ、だからといって「まァいいか」と思えるほどぼくは寛容じゃあない。そろそろこのパソコンも買い換えどきか?(買ってからまだ二年ちょいしか経ってないけど) 

 …と思って新製品のカタログを集めてみたり、店頭に行って触ってみたりしている昨今なのであります。ああ楽しいなあ。新しいパソコンいいなあ。高いけど欲しいなあ。よーし、本腰入れてチョイスしなくちゃなあー!

 だが冷静に考えてみると、余計なソフト(怪しげなエミュレーターとか)をいろいろインストールしたせいで動作が不安定になってるだけかもしれない。リカバリかけて初期状態に戻せば問題なく動くのかもしれない。

 ここはやはり、まずリカバリしてみて、それでもダメだったら新しいパソコンを買うことにするべきだろう。

 「リカバリかけてもどうか復旧しませんように…」と念じている自分がどこかにいる。何者だコイツは。

 

1月8日(木曜) 夜

 職場で雑煮談義になった。

 出身地によって内容が全然違うのでちょっと楽しい。たとえば愛知出身者は「おつゆ+もち+魚」だし、信州出身者は「味噌+もち+小松菜」、岡山出身者は「おつゆ+ホウレン草+ゴボウ」という具合である。

 他者の雑煮を聞くとお互い「そんなのお雑煮じゃないよ!」と目くじら立てるのが一層楽しい。

 ちなみにウチの雑煮は「京都風」である。母親によれば代々受け継がれる伝統があり、その内容を頑固に守り続けているらしいのだが、詳しく訊いてみたら気が抜けた。

 かしらいもが入手しにくいから毎年セレベス(インドネシアの里いも;形状がかしらいもに似る)を使っているのだ。これが京都の伝統なのか。

 伝統への拘泥は時として前衛となる。

−−−

 さて、木曜日なので Go smoking の連載コラムが更新されてます。

 今回のタイトルは「嫌煙運動余波」。四条河原町で見かけた妙な男について書いてみました。あまりにもサイトの趣旨通りのことを書くのも悔しいので、結果的に何だかよく分からない内容になってしまいました。よろしければご覧くださると嬉しいです。

 あと、このサイトの担当者のかたが街中で撮ったデニーズの写真を送ってくださいました。

 濃厚な甘さ、桃の香り。どうやらオーストラリア女性へのこだわりが強い店のようです。

 

1月7日(水曜) 深夜

 さきほど深夜12時半頃。

 アパートの廊下が妙に騒々しいので「のぞき窓」から見てみたら、隣室の女性が部屋の前で男と話しているところだった。

 が、よく見るとなにやらようすがおかしい。女性は立てないくらいにフラフラだし、男はそれをいいことに相手を抱きかかえたり髪の毛を撫でたりしている。さらには女性の「ダメですよぉ」という声が時折聞こえてくるのだ。うわー。

 あわててドアに耳をつけてみたところ、芳ばしすぎる会話のすべてが聴こえてきたのでした。

男:「君ずいぶん酔ってるみたいだし、心配だし部屋の中まで送るって」
女:「もう大丈夫です…。家まで送っていただいてホントにすみませんでした…」(よろめく彼女)
男:「ほーら、全然大丈夫じゃないよ。鍵開けてよ」
女:「いえ、ほんとに大丈夫です…。今日はありがとうございました」
男:「でもオレもちょっと休んでいきたいし。ねっ?」
女:「ダメですよォ…」(フラついて倒れそうになる)
男:「どうして? オレそんなに信用ないわけ?」(と言いつつ女性を抱えて頭を撫でる彼)
女:「部屋散らかってますし…」
男:「そんなのいいよいいよ! 平気だって!」(女性の頭にキスする彼)
女:「ほんとに汚いんです。ごめんなさい…」
男:「そっか…。じゃあオレ帰るわ」
女:「今日はありがとうございました」
男:「じゃあお別れのキスな」(ブチュー!)

 「送りオオカミ」の現物を初めて見させてもらいました。そうかー、こういう風にするのかあ。

 でも、部屋の汚さを何度も説かれて追い返されるオオカミってちょっと間抜けかも。

 そしてアバンチュールは「散らかった部屋」に阻まれる。「散らかった部屋」にはオオカミも勝てない。

 

1月6日(火曜) 夜

 今頃になって、新しい人からの年賀状がポツポツ届く。

 「年賀状あまったし名倉にでも出しとくか」という親切心が伝わってきて嬉しいです。

−−−

 先日ウチで新年会を行ったとき、直前にざっと部屋を掃除したわけですが。

 散らかってるモノを一通りかたづけて「これでよし!」といざ開催してみたところ、普段ちゃんと掃除してないことがバレて恥ずかしかった。黒いズボンをはいてきた人のズボンが時間とともにどんどん白くなってきたんである。

 気がつけば、はじめは真っ黒だった彼のズボンは白いほこりや糸くずでまだら模様に。うわあ。

 これでは気まずいので、今後ウチで何かするときはあらかじめ来客に言っておくことにしよう。

 「汚れたらいけないから、白っぽい服で来るように」

 

1月5日(月曜) 深夜

 仕事始めでした。

 年末年始は生活リズムが完全に昼夜逆転していたので(早朝5時に寝て午後1時に起きる)、突然朝9時から出勤となるともう時差ボケどころの話ではない。深夜3時から出勤してるような感覚である。

 おかげで真夜中に忍び込んで仕事してるような、妙な興奮を味わえたのでよかった。

−−−

 ところで先日、久しぶりに実家に泊まっていて思い出したのだが。

 高校時代、ぼくはよく自室でこっそりタバコを吸っていた。親にバレると怒られるので窓を開けて吸うわけだが、その際にちょっとしたコツがあった。

 こうするとちょうど煙が排出され、臭いがこもらずバレないのだ。

 ただ、こうしてタバコを吸ってると向かいの団地住人から丸見えなのが恥ずかしかった。ただ窓を開けて吸ってるだけならまだいいのだが、その位置が妙に極端なんである。なにしろ夏場は床に這いつくばっての喫煙だし、冬場は机によじ登っての喫煙である。

 「ふと向かい側の家を見たら、床に這いつくばってタバコを吸ってる男の姿」

 当時のぼくは「実家での恥はかき捨て」と割り切って吸ってました。高校では「吸いなれてるもんね」てな顔をしながら。

 おかげで今も、実家のご近所さんと顔を合わすのが苦手です。人生、なにかを失い続けることと見たり。

 

1月4日(日曜) 夜

 昨夜は我が家で新年会をしてたので更新できず。まだ二日酔いです。

 新年会では新春ということで、みんなで記憶スケッチ大会をおこなった。お題は「サザエさんのマスオさん」である。

外山さん画(優勝)

原さん画(2位)

名倉画(3位)

坂出さん画(4位)

川上くん画(5位)

 多数決で順位を決めたのだが、それにしてもみんな低レベル過ぎ。5位の川上くんは根本的になにか勘違いしてるし。

 新年早々から非常にがっかりした気持ちになれたのでよかったです。

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 ちなみに新年会では体臭のことばかり喋ってました。

 みんな自分の鼻や耳の臭いを嗅ぐのが好きで、気がつけば指先が顔のあちこちを移動しているということで一致。まるで野球のバッテリーのサインみたいです。

 投手や捕手もうっかり耳の臭いとか嗅いでしまって、間違ったサインのままゲームが進行したりしてるんじゃなかろうか。

 

1月2日(金曜) 深夜

 正月なので仕方なく実家に帰ってました。もういやだ。

 以前も書いたような気がするが、実家に帰ったぼくの部屋はまるで留置所なんである。

 かといって一家団らんするような暖かい家族でもないので、自室に引きこもるしか居場所がない。というわけで持ち帰った作業(注)にひたすら没頭していたのでした。

 でもおかげで、締め切りの迫っている作業が自分でもびっくりする位はかどった(他に何もやることがないんだから当たり前である)。困窮すると実家に帰るという人は多いけれど、この点においてはぼくもみんなと同じです。

(注)12月前後に出版予定とかアナウンスしてしまった『プチ狂気』(仮題;二見書房刊)の編集作業です。諸事情あって予定は遅れており、3月頃に出版できたらいいなという感じになっております。目下、投稿の選出作業にいそしんでいるので、どうか見捨てないでください(>皆さま&編集者さま)。

−−−

 実家に帰ったあと祖母宅を訪れたところ、こんなものを見せられた。

 何かと思えば、ぼくが3歳のころ祖母に出した年賀状とのこと(親による豪華解説入り)。

 こんなものを残している祖母も気持ち悪いが、3歳当時のぼくの描画もちょっとどうか。

 きっとぼくは、車の中でもワイパーとライトにしか興味がなかったのでしょう。で、数字の中でも9だけが大好きだったのでしょう。「木を見て森を見ず」という我が起源を垣間見る思いである。

 …というか、こんな「幼少時のオレグッズ」を恥じらいもなく公開してる今のぼくが一番どうしようもないですね。

 よーしよし。悲惨だね、ぼくちん!

 

1月1日(木曜) 午後

 明けましておめでとうございま。

 ここ数日、家に閉じこもって夢のような生活をしてました。

 年末なので一年分グダグダするぞ! と意気込んでリフレッシュしていたつもりなのだが、気がつけば新年になっていた。新年早々から二日酔いだわ、体はくさいわ、部屋は散らかり放題だわで、すっかり気が滅入っております。

 でもおかげで、ドラクエ5の主人公がレベル18にまでなったので嬉しい。

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 それでも年賀状くらいは出そうと、昨日あたりから書いておったわけですが。

 全身がグウタラ態勢になっているので、「はがき作成ソフトのフォーマットをそのまま使う」という手抜き年賀とあいなった。手書きするのが面倒なので、文章もすべてパソコン入力である。

 その結果、今年の年賀状はこんなことになってしまったのでした。

 いつもの調子で「ウンコの話」とか「エロチカ談義」とか書いているのだが、パソコンで打ってるせいで妙に達筆なんである。手抜きすればするほど、妙にきちんとした葉書になってしまうのがなんだか可笑しい。

 というわけで皆さま、今年もどうかよろしくお願いいたします。

 


   2003年12月のプチ日記 

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