2010年2月のプチ日記

2月27日(土曜) 夜

 恥ずかしながら、BS放送をタダで観れることを先日初めて知った。

 新しいマンションに引っ越して、新しい液晶テレビも買ったのだけれども、セッティングしてくれた電器屋のおっちゃんから「BSはこのままやと写りまへんわ」と言われたので、ああ、見るためにはややこしい契約とかアンテナ設置とかしなくちゃ無理なんだ、と思い込んでいたという次第。

 BSの番組局についても、NHKとWOWOWの2つしかないと思っていた。

 それが同僚によると、最近のマンションは配線をつなぐだけでBSが観れるうえ、番組局もフジやらTBSやらいろいろあるとのこと。これには流石にビックリたまげて、「ええっー! マジですか!?」…と仰天したら、逆に相手から「マジで知らんかったん!?」と仰天されたわけでして。

 その日のうちに慌てて電器屋に走り、店員に尋ねてみたところ、分岐器とコードがあればすぐに写るだろうと言われ、その通りにやってみたら即刻写りました。今まで知らなかったBSの世界、チャンネルもいっぱいある、ある、ある! こんな世界が広がっていたなんて!!

 コイツはすごいと感動して、勢いにのってハードディスク・レコーダーも新たに購入。

 …したまでははいいのだけれど。

 BS放送、しょせんは無料だけに目ぼしい番組などほとんどないし、地上波の再放送も目白押しである。せっかく買ったレコーダーも、これではまるで使い道がない。

 こうして時が経つこと数週間。レコーダーは結局、タモリ倶楽部を録画するためだけの専用機になっております。贅沢というかなんというか。

 

 

2月25日(木曜) 深夜

 ナチュラルメイクって、薄化粧のことだと思ってました。

 塗るか塗らないかの微妙なメイクのことだと思っていたのだけれど、実はそうではなく、「化粧してなくても地顔でキレイ!」と見られるようにバッチリと精緻なメイクを施す手法のことらしく。へえー、そうだったのか!!

 無着色の野菜と思わせるために、わざわざ着色料で落ち着いた色に仕上げた漬物のようなものか。それとも顔というキャンバスに、フォトリアリズムの肖像画を描くようなものか。

 ちなみにぼくの母は、少量の化粧しか使ってないのに化粧してるのが明らかに分かるという、非常に経済的なメイク手法を用いてました。それがどうしたって話ですが、化粧を化粧としてそのまま表現している点で、ウチの母のほうが真のナチュラルメイクなのかもしれません。

 塗った絵具を「絵具」というタイトルで作品発表するような、メタレベルでのナチュラルさ。「ナチュラル」という言葉が常に表裏反転し続けます。

 

2月24日(水曜) 深夜

 本日の「やらしくないモノ」。

 高校時代に覚えた数少ない歴史上の人物であるオクタビアヌスも、音楽家のドビュッシーも、勿論やらしくありません。

 世の中、やらしくないものばかりです。

 

2月23日(火曜) 深夜

 後輩のI君がここ数日、ずっと発熱が続いてしんどいと言っている。

 おそらく風邪だと思うけれどよく分からないので、とりあえず市販の解熱剤を服用しているとのこと。

 ぼくは個人的に、風邪は解熱剤を飲むと長引きやすいと思っている。たしかに解熱剤を飲むと熱は下がるし、多少楽にはなるけれど、そのぶん免疫活動も抑えられてしまうから、感染症の根治は遅くなるのだ。たぶん。

 ただ、多少長引いてもいいから熱を下げて楽になりたいという人がいたっていいわけだし、どちらを選ぶかは本人の自由である。自分の意見を他人に押しつけるような真似はしたくないので、後輩のI君には上述のような個人的見解を伝えたうえで、こう言い添えておいた。

 「最後に決めるのはI君自身やから。『細く長く』か『太く短く』か、どっちを取るかってことやね」

 しばらくの沈黙の後、「縁起の悪いこと言わないでくださいよ!」と逆に怒られてしまいました。そういうつもりじゃなかったんですがねえ…。

 

2月22日(月曜) 深夜

 「ちょいワルおやじ」って、流行りだと言われる割にあまり遭遇しない。

 それよりも確実に多いのは、「ちょいクサおやじ」だろう。加齢臭をほんのり漂わせていて、文字通りちょっとクサイおやじ。中年男性の8割くらいは該当しそうだから、本当に大流行である。世間のスタンダードと言ってもいいかもしれない。

 まァでも、これって考えてみたら「成人女性には生理が大ブーム!」みたいなことなので、それがどうしたという話ですね。

−−−

 それはさておき、最近ご近所のラーメン屋探索に励んでいます。

 昨日は伏見の名店「はなふく」に行ってみました。この界隈ではよく知られた店で、ジム・ジャームッシュやウィレム・デフォーといった有名外国人がしばしば立ち寄ることで知られていません。

 魚介ラーメン700円。濃厚な節の風味が香りたつ感じで、ここ10年くらいで一番のヒット! くらいに美味しゅうございました。肉厚なチャーシューの柔らかさも絶品で、まるで筋弛緩剤を投与された豚かと思うくらいの素晴らしさ。これでお値段700円というのは、まさに丁度いいの一言に尽きます。

 その後、伏見稲荷の前を通ったら、すずめの丸焼きが売ってあったので一瞬立ち止まったんですが、値段が一串500円もするのでスルーしました。

 これ1本でそこいらのラーメンが1杯食べられるのかと思うと手が止まりますが、五千円で10本一気食いしてみると世界観が変わるかもしれません。

 

2月19日(金曜) 深夜

 冬季オリンピック花盛り。スポーツのことはよく分からないのだけれど、個人的に見るのが好きなのはスキーの滑降や大回転だ。

 カーリングはルールが未だによく分からないし、フィギュアスケートは選手の股間ばかり見てしまうし、モーグルも皆すごすぎて上手ヘタがよく分からない。その点、滑降や大回転はタイムだけ勝敗を決めるという明快さがいい。

 スキーに関しては学生時代にちょこっとやっていたので、選手のスゴさがダイレクトに分かるのがいいのかもしれない。とくに滑降などは、初級者ならターンしながら降りることさえ無理な急斜面を、ほとんど直滑降で滑り降りるんである。まさに狂気の沙汰としか思えないけれど、それをちゃんと制動させつつ滑り抜ける選手を見るたびに、すごいすごいすごすぎる! と、往年の村西とおる監督のような歓声をあげたくなってくるんでありまして。

 …とまァ、このような会話を同僚たちとしていて、やっぱり滑降がいちばん面白い! という意見で盛り上がっていたところ、「そういや大滑降もいいよね」「そうそう、スーパー大滑降とか!」てな話題で盛り上がりはじめた人がいて、ああ世の中の認知度はこの程度のものなんだなァと、脱力しつつ思った本日なのでした。

 滑降がスピード系競技の頂点なのに、スーパー大滑降って。一体どんなことになるのか、想像しただけで怪我人が続出しそうです。

 

2月18日(木曜) 深夜

 パイレックスの容器が欲しくてたまらなくなり、発作的にスーパーの売り場へと駆けつけたところ。

 各容器の用途があまりにも厳密に限定されていて、思わずたじろいでしまった。 左側の小さいほうは「梅干し、きな粉、ティーバッグ」用だし、右側の大きいほうは「コーヒー、ナッツ類、カットわかめ」用。

 いままで梅干などは使用済みのジャム瓶に入れていたし、カットわかめにいたっては開封した袋をそのまま洗濯ばさみで止めていたのだけれど、それはさておいても、だったらトロロ昆布はどこに入れたらいいんだよ!? と言いたくなる。

 ところできな粉って、どこに家庭にも常備されてるんでしょうかねえ。ぼくは自分で買ったことありません。

 

2月17日(水曜) 深夜

 本日の花屋です。

 花屋にしてはあまりにも華がないので、密かに感銘を受けました。これでちゃんと営業中だから、ますます格好いい。「花は見せもんやのうて、売りもんなんや!」という一本筋の通った店なのかもしれません。

 質実剛健なお花屋さん、かなり気に入りました。ほんとうに質実剛健なら、お花など売ったり買ったりしなさそうな気もいたしますが。

 

2月16日(火曜) 深夜

 京セラの本社ビルに行ってきました。

 壁面に設置された巨大な太陽光発電板が付近のランドマーク的な存在になっている。で、ビルの1階と2階はフロア全体が一般客向けのショールームとして開放されていて、そこのブースのひとつが太陽光発電による電力売買の解説になっておるわけでして。

 それはいいのだけれど、電力の売買が「売電」と「買電」で、どちらも「ばいでん」と読むからややこしくて仕方がない。新しい用語なのに最初っから同音。どうしてこんなモッサイことになるのかと、他人ごとだけにちょっと可笑しい。

 そういや「売春」と「買春」がどちらも「ばいしゅん」でややこしいというので、後者だけが「かいしゅん」と呼ばれることがある。これはこれで「回春」を連想させるのでどうなんだろうという気もするが、同じ論法で「買電」だけが「かいでん」と呼ばれているのかもしれない。

 それにしても「買」も「売」も読みが「ばい」なのは、今となっては先人のやっちゃった感満点ですな。おまけに英語の「buy」まであるし。 

 

2月15日(月曜) 深夜

 本日の、あまりにもあんまりな。

 坂本龍馬はまだしも、松下幸之助って。天国の松下さん、「頼むさかいワシの名前で勝手なこと言わんとってくれ!」とおっしゃってそうな気がします。

−−−

 そして本日の調理グッズ。

一見なんの変哲もない金物類ですが。
 
なんとメタリカのカス揚げ! あのヘヴィ・メタル界の帝王、メタリカがついに調理道具もプロデュース!?
 
メタリカのお玉(小)などは、牧歌的になりがちな台所用品にカツを入れる、ヘッドバンガー必須の一品と言えましょう。

 

2月12日(金曜) 夜

 最近、晩ご飯の品数を多くするのが楽しい。

「ニューヨーカー定食」
カレイの煮付け、水菜の煮びたし、ほうれん草の白和え、イワシと豆腐の炊き合わせ。NYのウォール街をイメージしてみました。

 
「好物づくしのサイババ定食」
カレー、自家製餃子、バンバンジー。どれも好物なのだけれど、さすがにカロリーを考えて小皿に。ほんとは全部大皿で山盛り食べたい。サイババと一緒に。
 
「ナパームデス定食」
デスメタルっぽさを意識して、菜の花の煮浸しと白和え、タラコ、ホタテ貝のバター焼という地獄の取り合わせ。ヘイ、スキャンティ着るぜ!!
 
「我が友、シラケ世代よ! 定食」
はてシラケ世代は今どこに?…と思って見回してみるも、いるのかいないのかよく分からず。肉じゃが、サラダ、肉だんご、鶏軟骨煮というこれまたよく分からない取り合わせにて。
 

 品数が多いとどうして楽しいんだろうと胸に手を当てて考えてみたところ、居酒屋っぽいからという明快な答えに至りました。

 

2月9日(火曜) 深夜

 ご近所情報の掲示板で見かけたカキコミ。

 なぜそば屋とうどん屋に天ぷらがあるんだろう? という素朴な質問に対して、「売れるからじゃないか?」とこれまた本質を突いた回答が寄せられていて、思わず微笑ましい気分になったのでした。一見朴訥そうなのに身も蓋もない感じがたまりません。

 そう、王将が餃子を作るのも、トヨタがプリウス作るのも、製薬会社が感冒薬作るのも、葬儀屋がいろいろやってくれるのも。

 世の中、たいていのことは「売れるから」なのだなあと改めて。

 

2月8日(月曜) 深夜

 近所にある「ラーメン荘・地球規模で考えろ」に行ってきました。

目当ての店は向かって右側(青い看板のほう)ですが、その隣もラーメン屋なので、なんとなく気まずい佇まいが伝わってきます。
 
…というのも、「地球規模〜」」は行列が絶えないのに対して、隣の「川藤屋」は行列とはテンで無縁なのでした。
 川藤屋は最近オープンしたばかりなのですが、噂によると、「地球規模〜」に行列ができているのを見た川藤さんが「この地域はラーメン屋が供給不足なんや!」と思って新規オープンしたものの、客足がサッパリでしょんぼりしておられるんだとか。
 真偽のほどは判らないけれど、いまのご時勢、店に行列ができるのは供給不足が理由ではないと思います。
 
ラーメン(650円)。麺は300gが標準なのですが、それほど腹ぺこではなかった身には多すぎて、後半は心底イヤになりながら頂きました。でも焼豚は美味しゅうございました。
 この手のやつは「ラーメン二郎系」と呼ばれるようですが、明らかに炭水化物過多なので、野菜とタンパク質を補いたいところですが…。
 
野菜とタンパク質を補おうとすると、こんなことになってしまいます。豚ラーメン、野菜増し増し。
 
店のトイレ。「頭ぶつけます!」と書かれていますが、ぼくはぶつけませんでした。なぜならば、トイレを利用しなかったからです。
 

 

2月5日(金曜) 深夜

 会社帰りの電車で、向かいに座っていた60歳くらいのおっさんの携帯電話が鳴った。

 電車の中だというのに、車両全体に響きわたるような大声で通話しはじめるおっさん。

 「はァ、もしもし!」
 「ああ、おまえか。あのな、ワシいま電車の中なんや」
 「電車の中やさかい、喋れへんのや」
 「そやさかい! 電車の中やさかいに喋れへんっちゅうとんにっ!!」
 「何回言わすねん、あほんだらァ! 喋れへんっちゅうとんやろがっ!!」
 「ああっ、喋れんもんは喋れんのじゃ! もう切るさかいな!!」(ブチッ)

 こんなに騒々しい通話は久しぶりに見ました。たのむから普通の声で喋ってください。

 

2月4日(木曜) 深夜

 こういうことはしたくないなァと改めて思ったこと。 

 生きる気力を人から奪うのは、得てしてこういうことの地道な積み重ねであるような気がします。

 

2月3日(水曜) 深夜

 節分なので、夕食に牛肉ともやしとブリと菜の花と明太子と豆腐をいただきました。

  鬼は〜外! 福は〜内!!

 いわしですら嫌いという偏食家な鬼のこと、牛肉とかもやしとかブリとか菜の花とか明太子とか豆腐とかは、いずれも大嫌いにちがいありません。鬼が好きなのは小松菜くらいだと聞いていますから、なるべく多くの品目を食べるほうが効果的だと思います。

 ちなみに、酒は鬼も好きそうなので飲んでません。その代わりに、鬼が嫌いそうな発泡酒を飲みました。

 

2月2日(火曜) 深夜

 近所のスーパーで見かけた、本日の必勝アイテムです。

 ドーナツメンチカツ(勝つ)「受カレー」(ドーナツ型でさらによく通る)。

 …よくもまァ、ここまでゲン担ぎ(というかゴロ合わせ)を考えたものだと思うけれど、半額シールを貼られたのが大量に残っていたところを見るかぎり、売れ行きのほうは今ひとつだったようで。半額になって興味を示しているのは主に、独り暮らしっぽいオッサンたち(ぼくも含む)でした。

 こうなったらバイトを雇って、店頭販売でもしたほうがいいかもしれません。

 「ボクたち、これでハーバード大学に受かりました!」

 なんでハーバード大学の学生がこんなスーパーで店頭販売してんだよ!? と訝られそうですが、そこはがんばってホンモノの学生を雇い、「受カレーを摂取した受験生のほうが合格率が有意に高い」という統計的エビデンスをもって売ってほしいところであります。半額で。

 

2月1日(月曜) 深夜

 いつもせっけんシャンプーを使っているWさんという知人(女性)がいる。

 Wさんによると合成シャンプーよりもせっけんシャンプーのほうが頭皮&毛髪に優しく、実際、美容師さんから「健康でキレイな髪ですね」と褒められることも多いらしい。で、どうやって手入れしているのか訊かれて、正直に「せっけんシャンプーを使っている」と答えると、美容師さんからは決まって同じ答えが返ってくるんだという。

 「せっけんシャンプーは髪を傷めるからダメですよ!」

 さっきまで褒めていたくせに、いったい何なのよ! というのがWさんの弁。たしかにその通りで、結果がいいんだったら万事OKだと思うのだが、美容師稼業をしていると、どうしても自分たちの常識で判断してしまうのだろう。

 結果はよくてもプロセスがダメ。これって、音楽を聴きながら勉強して東大に現役合格した受験生にむかって、「音楽聴きながら勉強してただって? いくら東大に受かっても、そんなのダメよ!!」などと説教するようなものではないか。

 ちなみに、ぼくもせっけんシャンプーを使ってるんですが、ハゲは着実に進んでおります。普通のシャンプー使ってたら、もっとひどいことになっていたと思うことにします。

−−−

 そういや、頭にはシャンプー、顔には洗顔フォーム、体にはボディソープ、手にはハンドソープと、ご丁寧にすべて使い分けている人にときおり出会う。

 すべて石鹸でやっつけてしまうぼくなどからすると、よくもここまでご丁寧に…と尊敬してしまうのだが、考えてみればどれも界面活性剤がベースなのだから似たようなものじゃないの? とも思ってしまう。それに、顔と体のあいだにある首などはいったいどっちで洗うんだ!? と余計な心配までしてしまう始末。

 まァ、こういう細分化はおおかたメーカーの販促戦略だろうけれど、だったらもっと細分化すればいいのに。

 こういう商品が店頭に並んでいたら何の疑問も抱かずに買えるような、そんな人になりたいものです。


  

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